傑作「36のカプリッチョ」や有名オペラの名旋律による曲を収録
本作は、レニャーニのギター独奏作品を完全収録した、録音史上初の貴重な試みである。その多くは、当時の人気オペラの旋律やアリアを編曲・トランスクリプションしたものであり、彼自身の演奏によって聴衆を魅了するための作品であった。しかし、それらは単なる技巧的な見せ場にとどまらず、今日のリスナーにも訴えかける創造性と洗練された構成を兼ね備えている。
レニャーニは演奏と作曲の両面で、ギターの魅力を広めることに尽力した人物である。ジュリオ・タンパリーニは、この素晴らしいアルバムを通じてレニャーニの遺産を称えている。
[収録曲]
CD1
1. ロッシーニ:歌劇「アルジェのイタリア女」第1幕〜二重唱「運命の気まぐれに対しては」Op.5
2. 華麗なるファンタジア Op.19
3. ロッシーニ:歌劇「アルジェのイタリア女」〜カヴァティーナ「美しい人に焦がれて」 Op.7
4. グラン・カプリスまたはエチュード Op.60
5. 地震と変奏 Op.1
6. ウェーバー:歌劇「魔弾の射手」による変奏曲 Op.22
7. グラン・カプリッチョ Op.6
CD2
1. パイジェッロ:歌劇「水車屋の娘」〜二重唱「うつろな心」による大変奏曲 Op.16
2. ハンガリーの国民的メロディ(ラーコーツィ行進曲)と創作主題によるポプリ Op.203
3. ロッシーニ:歌劇「アルジェリのイタリア女」〜第2幕 合唱とロンド「祖国を思って」 Op.8
4. グラン・カプリス Op.34
5. ロッシーニ:歌劇「アルミーダ」〜「いとしい人よ、この魂をあなたのために」による変奏曲
6. ロッシーニ:歌劇「ウィリアム・テル」序曲〜アンダンテとアレグロ Op.202
CD3
36のカプリッチョ Op.20
カプリッチョ第1番〜36番
CD4
1. グランデ・カプリッチョ 当世風メロディ集 Op.222
2. カイエ I
3. カイエ II
4. カイエ III
5. カイエ IV
6. グランデ・ファンタジア Op.61
7. ロッシーニ:歌劇「チェネレントラ」〜「苦しみと涙のもとに生まれ」による変奏曲 Op.30
8. グラン・リチェルカリオまたは練習曲 Op.3
9. ロッシーニ:歌劇「ゼルミーラ」のカヴァティーナ「運命よ! お前に従うのなら」による序奏と変奏曲 Op.21
CD5
1. ベッリーニ:歌劇「ノルマ」のモチーフによる序奏と変奏曲 Op.201
2. 序奏、主題、変奏と終曲 Op.64
3. ロッシーニ:歌劇「湖上の美人」〜カヴァティーナ「おお、どれほどの涙よ」による変奏曲 Op.18
4. 序奏とロンド ト長調 Op.62
5. チロル風のモチーフによる大変奏曲 Op.12
6. 序奏、主題と変奏 Op.224
CD6
1. ポプリ・アン・カプリス Op.32
2. ロッシーニ:歌劇「ゼルミーラ」と「コッラディーノ」の有名なモチーフ Op.26
3. ロッシーニ:歌劇「チェネレントラ」の主題によるやさしい変奏曲
4. 創作主題による序奏、大変奏とコーダ Op.27
5. ヴェルディ:歌劇「エルナーニ」〜エルヴィーラのカヴァティーナ(3つの国民的舞曲)6. I マズルカ
7. II ジプシー
8. III カチュチャ
CD7
1. 序奏、主題と変奏 Op.237
2. 華麗なポプリ Op.31
3. スケルツォ、または4つの変奏曲 Op.10
4. シュスターの主題による変奏曲 Op.25
5. ロンドレット・スケルツォーゾ Op.204
6. 序奏と華麗でやさしいロンド Op.11
7. 序奏とコーダ付きグラン・ポプリ Op.238
8. 主題と華麗で難しくない変奏 Op.29
9. ヴェルディ:歌劇「エルナーニ」〜第2幕序奏
10. グラン・ソナタ
CD8
1. ロッシーニ:歌劇「湖上の美人」の有名な行進曲による変奏曲 Op.24
2. ヴァイグル:歌劇「水夫の恋、または海賊」〜三重唱「約束の前に」による主題と変奏 Op.4
3. ロッシーニ:歌劇「アルジェのイタリア女」序曲(グラン・シンフォニア)
4. 6つのカプリチェット Op.250
5. 段階的な難易度の36のワルツ
ルイジ・レニャーニ(1790-187)
イタリアのギタリスト、歌手、作曲家であり、クラシック・ギターのレパートリーに大きな影響を与えた。
フェラーラ生まれの彼は、最初は優れたテノール歌手としてヨーロッパ各地のオペラで活躍したが、やがて卓越したギター演奏と革新的な作曲によって音楽史にその名を刻むこととなった。
19世紀初頭、ギターはコンサート楽器としての地位を確立しつつあったが、レニャーニはその卓越した技巧と表現力で注目を集め、マウロ・ジュリアーニやフェルナンド・ソルと並び称される存在となった。
彼は生涯に250曲以上のギター作品を作曲し、楽器の可能性を深く理解していた。その作品には、エチュード、カプリス、ロッシーニのオペラ旋律を基にした変奏曲などが含まれる。中でも《36のカプリッチョOp.20》は、技巧的な難易度の高さと音楽的な豊かさから、クラシック・ギターの重要なレパートリーとして現在も演奏され続けている。
1836年の夏、パガニーニはトリノでルイジ・レニャーニの演奏を聴き、「最高の喜びを与えてくれた」と大いに感銘を受けた。そこで、彼と共にコンサートを開く計画を立てたが、実現には至らなかった。しかし、このエピソードは、当時ギターがまだイベリア半島に結びつけられていた時代において、レニャーニが卓越したギター・ヴィルトゥオーソとして高く評価されていたことを示している。
ジュリオ・タンパリーニ(ギター)
ジュリオ・タンパリーニは、現代イタリアを代表するカリスマ的なギタリストとして知られている。
2014年にイタリア・ミラノで「芸術・文化賞」を受賞したジュリオ・タンパリーニは、ワーナー・クラシックスのアーティストとして活躍し、これまでに25枚以上のCDを録音、世界各地で2000回以上のコンサートを行ってきた。
彼は、以下のような主要な国際ギターコンクールで数々の賞を受賞している。
● サンレモ「ナルシソ・イエペス」コンクール(審査委員長:ナルシソ・イエペス)
● 国際ローマ・ギターコンクール(1996年、2000年)
● コゼンツァ「デ・ボニス」国際コンクール
● アレッサンドリア「ピッタルーガ」国際コンクール
● ローマ「フェルナンド・ソル」国際コンクール
● グラナダ「アンドレス・セゴビア」国際コンクール
2001年には、ローマ教皇を称えるバチカンのクリスマス・コンサートで演奏を行った。
ソリストとしての活動に加え、室内楽、オーケストラ、合唱、弦楽アンサンブル、打楽器、サクソフォンなど、多様な編成での演奏にも取り組んでいる。音楽活動の一環として、ミラノ・スカラ座のソリストたちとも共演している。
2003年には、フランシスコ・タレガのギター作品全集を収録した2枚組CD『Francisco Tarrega: Complete Works for Guitar』が、アレッサンドリア国際ギター・ミーティングにおいて「ゴールデン・ギター賞(年間最優秀CD賞)」を受賞した。
彼はブレシア国際ギターアカデミーのディレクターを務め、イタリアン・ギター・キャンパス(IGC)の創設者でもある。
ブリリアント・クラシックスからリリースされた彼の過去のアルバムは、国際的な評価を受けており、本作はレニャーニの音楽を記録に残す上で重要なマイルストーンとなるだろう。(ブリリアント・クラシックス)